オシムジャパン初黒星 サウジに0-1で敗れる
田中 巻 三都主 遠藤 阿部 鈴木 駒野 加地 闘莉王 坪井 川口(C) 田中→佐藤寿(後半21分) 巻→我那覇(後半29分) 鈴木→羽生(後半36分) うーん、どうにも消化不良な試合でした。アウェイといえど、相手のペースにずるずると引き込まれ、変なパスミスを連発。サイドも有効利用できないという、悪い時のジーコジャパンを見ているような感覚でした。やはり練習時間が無い状態ではオシムの戦術は浸透しないのでしょうか。選手の中にある代表のイメージがそのまま出てしまったような。オシムの意思をピッチに伝える役目もあるはずの阿部は消えている時間が多かったように感じました。 後半、阿部をDFラインに下げ、3-5-2の形にした我らが日本代表。ようやく加地の攻撃参加が見られるようになりましたが、それでもゴールを奪うまでには至らず。逆にボランチが1枚になった影響か、鈴木がこらえ切れなくなってしまい中盤のフィルターが効かなくなってしまいます。失点もそんな中から生まれたものでした。中央でアミンがぽっかり空いたスペースでボールを受けると誰もプレスに行けず、ずるずる下がる展開に。そこからミドルを撃たれ、闘莉王がブロックしたものの、無情にもボールは右にいたアルドサリへ。フリーの状態でごっつぁんでした。あれは運が悪かったという同情意見もありそうですが、中盤でプレッシャーをかけられなくなった時点で起こるべくして起こった失点でした。スペースが空けばミドルをバンバン撃たれるってもんですよ。 その後、選手を代え、闘莉王を上げてパワープレーに移行しようとするも、ピッチ上ではボールを細かくつなぐばかり。時間が無いところでボールを下げたらレフェリーに試合を切られるだろが!と思ったらやっぱり終わってしまいました。もっと簡単に放り込んで、闘莉王・我那覇のポストからこぼれ球をねらう方法に切り替えても良かったんじゃないかと思いましたが、それも後の祭り。次のイエメン戦ではこの教訓を生かして、勝って帰ってきて欲しいです。 しかし、今回の主役は大声の大熊コーチではないでしょうか。解説いらずの大声は今回もマイクに入っていました。「闘莉王、上がれ~!」「サイドから!サイドから~!!」「阿部~!!」・・・見事なコーチングです。拡声器いらずの大熊コーチはこのためにオシムジャパンに入閣したんでしょうなぁ(ォィ Q:中盤でボールを取るのに苦労したようだが? 「チャンスの数はどっちが多かったかを考えてほしい。日本か? サウジアラビアか? (質問者が「日本」と答えると)それが試合の内容を表していると思う。全体として悪い内容の試合ではなかった。中盤のボールについてはそういう試合もある。サウジアラビアは中盤に人数を多くかけ、いい選手もたくさんいた。日本は左サイドに問題を抱えていた。しかし、問題はそこにあったわけではない。最大の問題は15分くらいまでの間で、相手にボールをプレゼントし続けてしまったこと。経験がないのかもしれない。相手がタックルに来たわけでもないのに、10回ボールを奪って10回相手に渡してしまった。それは今日だけではなく日本が抱える問題だ。 しかし、いい部分も悪い部分も両方あった。今回の我々は準備に時間をかけられなかった。サッカーはオートマティズムが必要なもの。特にオフェンスの選手に問題が集中していたかもしれない。これは一朝一夕で直る問題ではないかもしれない。教育を受けていないからだ。選手たちは学ばなくてはいけない。悪い癖がついているのかもしれない。つまり、サイドでボールをもらったらすぐにクロスを上げてしまうというようなことだ。考えていないプレーが多かった。それを除けばアグレッシブに戦うことなどもよかったとは思う。日本の方が内容的にはよかった。結果として負けたわけなので、ジャーナリストのみなさんはもっと厳しい質問をしていい。サポーターのみなさんも怒っていい。もしブラジルだったら延々と負けた理由を話し続けているだろう。でも目指す方向は間違っていない。今日は結果が逆になってしまった。選手たちに言いたいことはたくさんあるけど、冷静に考えることができるまで待つことにする。試合のあった翌日に日本を出て、飛行機に乗って時差ぼけもあります。選手たちにとっては大変気の毒な状況だったと思う」 Q:今日の負けは若い選手にどういう影響を与えると思うか? 「負ける場合もあるんだということを最初に学ばなければならない。しかし、内容はよかったと思う。もしこの内容で勝ってしまっていたら、分からなかったこともある。失礼な言い方だが、サウジアラビアは内容うんぬんではなく1-0で勝ったわけですから、内容を忘れてしまってもいいと思う」 Q:最初の15分間パスがつながらなかったのは、受け手と出し手のどちらの問題か? 「多分、白(サウジアラビアのユニフォーム)と青(日本のユニフォーム)の区別がつかなかったのだろう(笑)。よくあることだ。これまで対戦したことのない相手と戦う場合、特にブラジルスタイルの相手と戦うときに多い。ブラジルスタイルというのは、動きながらそこに来るのを予測するようなスタイルのこと。慣れていない選手は相手にパスを出してしまう。相手側もそういう狙いで動くので、注意深く動かなくてはならない。改善する方法としては、もっとアグレッシブに動くことです。スキル向上も悪くはないが、それは一朝一夕ではできないものだ」 Q:巻には何か問題があったのか? 「巻だけが問題だったら少しはマシだった(笑)。巻は他の選手の足りなかった部分を補っていた。そういう選手が疲労してゴール前でチャンスを失うことはよくある。彼はゴール前で待っているタイプではない。今日の試合は中盤全体に問題があった。つまり、前線で巻と田中達が頑張っても遠藤、アレックス(三都主)、阿部、鈴木啓太が連動しなくては攻撃ができない。冷静に確実にやれば1点、2点、3点取れたと思う。 最初の話に戻るが、負ける方がいい場合もあります。主導権を握って、チャンスを作って、点も取れていれば、何も気づかないだろう。今日の試合は今後研究する材料がたくさんあるように思う」 Q:イエメン戦に向けてメンバーを替えるのか? 「24人連れてきたのはそういう意味だ。巻も問題があるらしいし(笑)。他の選手も問題があると言ってくるかもしれないし(笑)」 Q:中盤で押し上げができなかったのは、どこに原因があると考えているのか? 「一口では言えない。中盤にはさまざまな要素がある。まず、対戦相手はどんなチームか、自分たちがどういうプレーをしたのか、リスクを冒したのか冒していないのか、サイドは機能したのか、片方ができて片方ができていないのはなぜなのか…といろんな角度から考えられる。機能しなかったのが経験のある選手の方(左サイド)だっただけに、非常に残念ではある。 まだ理想のチームが出来上がっているわけではない。不完全なままリスクを冒すことも時には必要だ。あらゆることが手に入るわけでもない。ハッキリしているのは優れたストッパータイプの選手が不足していること。背が高くてしっかりボールさばきのできるDFだ。すぐにはプレーしなくてもベンチで控えていて動ける選手もそうだ。そんな選手がいるだろうか。みなさんの方がだくさん試合を見ているだろうし、逆に聞いてみたい。誰かご存じではないか? ストッパーというのは時にミスを冒すものだ。MFを含めて、闘莉王、坪井、阿部、鈴木のように攻撃に参加してリスクを冒せる選手がいない。大事なのは味方のことよりも、対戦相手のことを考えることだ。今日のサウジアラビアは優れた選手がたくさんいた。その点でサウジアラビアの方が優れていた部分があったのかもしれない。 選手たちに、負けた原因は君たちが走らなかったからだと言うつもりはない。それは不公平というもの。サッカーは学ぶことが多いです。選手を代えれば点が取れるのであれば代える。しかし、例えば、サイドラインで交代選手が待ち構えているだけで、誰が交代するのかと試合に集中できなくなる選手もいる。後から投入した選手の方が酷いプレーをする場合もある。 今日の試合では、第4の審判が選手交代に時間がかかりすぎたという問題もあった。こちらの交代選手が待っている間に失点してしまったのだ。Jリーグの試合でも5試合くらい見たことがある。千葉が負けた試合とか。連鎖反応なのだろうか(苦笑)。だから負けたことを正当化するつもりはないが、私はそういうディテールを分析しているということだ。 今日の試合でもう1つ言うと、私のチームは残り数分の時間帯で、闘莉王が前線で競り合う準備をしているのに、DFラインで4回も5回もDF同士でパス交換をしていた。それはまさに自己破壊。これもマイナーなディテールの問題だ。彼らは20歳を過ぎた大人なのに…。 話を戻すと、今日は負けて本当によかったのかもしれない。負けて痛みがないいわけでないし、私の胸も痛いけど、選手たちはどうなのか…。 これから帰りのバスに選手たちと一緒に乗りたくはない。歩いて帰ります(苦笑)」
by shock226
| 2006-09-04 15:09
| 日本代表
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